し尿汲み取り

元々、創業時は、し尿汲み取りのみしかしておりませんでした。昭和38年の事です。

創業は、昭和38年ですが、その前は、し尿処理組合、そしてそれよりも昔は田中商店という個人の汲み取り業者でした。

昔は、リヤカーに桶を積んで、柄杓でし尿を汲んでいたそうです。そして、たまたま、田中商店はリヤカーと人夫がたくさんいた…。そこで、し尿処理組合と一宮中部衛生の代表を私のおじいさんがする事になったようです。

その時代の一宮市、繊維産業でとても賑わっており、すごく活気が良かったようです。

実は、ここでし尿汲み取りにおいても、この一宮市だけの特徴があります。市内の至る所にある繊維の工場、そこに勤める女工さんの寮(社宅)がたくさんあったのです。

繊維産業が徐々に難しくなり、その時の寮は、現在では汲み取りの借家として残っています。

一宮市が他の自治体と比べて、汲み取り(非水洗)世帯が多く残っているのは、こういった背景があります。

汲み取りは非水洗の為、不衛生であり、国が水洗化を強く推奨しており、下水道や浄化槽が整備され、全国的にはかなり汲み取りの世帯は減りました。

し尿汲み取りのみをしている、弊社の同業者の中には、廃業をした会社もあります。お客様が少なくなり過ぎて、業が営めなくなったからです。

一宮市は汲み取り世帯が多く残っているとは言いましたが、私が知っている時代ですと、30年前、し尿汲み取りのバキュームカーは15台が稼働しておりました。私が入社した20年前は10台、10年前は5台、そして現在はどうでしょう?実質的には、2.5台の仕事量です。

もし、弊社が浄化槽の清掃をしない、し尿汲み取りのみしかしていない会社であったなら、かなり厳しい状況です。

実は、15台で仕事をしていた時代と2.5台で仕事をしている現在では、1日に走行する移動距離が全く違うのです。燃料も使いタイヤも減り車が早く痛みます。また、その当時に比べて燃料の単価、車両の価格、社員の人件費(社会保障費を含む)も大幅に高騰しております。

こういった状況で、誠に申し訳なく思いますが、消費税の上がるタイミングでし尿汲み取りの料金を値上げさせていただくことを決断しました。便乗値上げではなく、値上げをしなければならない理由がある事をお客様にはご理解いただければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。