終わっている建設業界

今朝の中日新聞にて、能登半島の公費解体において、解体時に発生した金属を指定の処分場所に搬入せずに、売却して利益を得たことが問題となった記事がありました。

私的には、そんな事はどうでも良いのですが、それを行った会社が6次下請け業者だという事です。

建設業では、重層下請けが問題となっており、今回の多重下請けは6次下請け…。

国が是正しようとしているはずなのに、公費解体で6次下請けまで入っているとは…。

国は何をやっているんだか…。

通常、元請け業者は、1割の利益は必ず確保するのがの通例です。

例えば請負金額が100万とすると、2次業者は90万、3次業者は81万、4次業者は73万、5次業者は66万、6次業者だと60万となります。

6次下請け業者まで行くと、もともとの100万で契約した工事に対して、4割中間搾取され、60万の施工内容となります。その結果は、ずさんな工事内容です。

総合建築一式工事であれば、下請けの多重構造はまだ理解ができます…。

しかし、今回のような専門工種である解体工事に関しては、下請けに対して施工は丸投げとなるのです。そこに来て6次下請けまで階層が下がるとその品質は最悪なものとなります。

少し前の岐阜市役所の解体工事でも、まさかの不法投棄が行われました。あと、施工内容も問題となりました。公共工事で不法投棄が行われるような事は、建設業界は本当に終わってるな…。と、思います。

解体工事は、本来専門工事なので、請け負った会社が直接施工をするのが本来です。もしくは、最低でも、2次下請けまでで辞めとかないと品質は確保できません。

実際、解体工事は、本来であれば、他の工事に比べて、騒音・振動苦情や、安全面といった部分で非常に施工技術を要します。

そこは、責任を下請けに任せて、元請けは逃げたい部分です。なので、大手のゼネコンなども、自社本体では、解体は請け負いません。必ず、下請けの解体専門業者にふるわけです。

そういった事を考えると、解体工事は、解体専門業者に直接依頼をするシステムに切り替えって行った方が良いのです。

中間搾取で請負金額を減らされる為、適正な人件費も確保できず、建設業界は人手不足となっています。

これは、発注者側にも問題があります。自社での施工能力がない元請け業者に仕事を依頼するからです。

はっきり言うと、これは、民間工事よりも公共工事に多いです。

今回の例だと、100万の発注額に対して、実際に施工する6次下請けは60万で工事する訳です。そこで利益を残そうとすれば、ルール無視の違法な工事になるに決まってます。

あと、一番の失敗は、解体工事連合会が窓口となっている点です。この組織は、加入業者がとても少なく、本来、大規模災害時の対応ができる規模では残念ながらないのです。だから、6次下請けまで降りていってしまうのです。

今、能登半島に集まってるのは、地元では仕事の取れない解体業者です。暇してるくらいなら安くても良いから仕事を確保しに出稼ぎに行こう。

その結果は、今回の新聞記事にあったような施工内容です。

これは、誰が悪いと思いますか?

請け負う方の問題だけではなく、はっきり言いますが、発注者です。

ましてや、多重下請けを問題としている行政が発注者なのです。

だから、建設業界は終わってるんです。これは、建設業界も悪いですが、発注者である行政の姿勢によるものです。